ワセリン除去

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ワセリンとは

ワセリンは、石油から得た炭化水素を精製した鉱物油です。機械油や保湿剤として頻用されています。手軽に手に入るために、ワセリンを陰茎に注入して陰茎増大を図る方がいらっしゃいます。

ワセリンによる陰茎増大

陰茎が小さいために、陰茎を増大する治療を陰茎増大と言います。陰茎増大のために液状ワセリンを自己注射する方がいらっしゃいます。陰茎を手軽に増大させることができるために、安易に注入することが多いようです。注入直後は、陰茎が増大することにより、コンプレックスが改善させ、満足感が得られます。しかし長期的にみるとワセリンによる陰茎増大はトラブルが多く、変形や組織の壊死を生じるためにワセリン除去を希望される方が多くいらっしゃいます。

ワセリン注入を繰り返す

陰茎を大きくして、コンプレックスを解消したい、満足感を得たい、自信を持ちたい、温泉やサウナで一目おかれたい、などの理由から、陰茎にワセリン注入をされる方がいらっしゃいます。ワセリン注入は、自分で行えるために、最初は少しだけ注入します。効果に対する満足感から、徐々に、もう少し、もう少しと追加注入を繰り返し、変形をきたることがあります。陰茎の形状が崩壊し、取り返しのつかない状態になり、後悔される方もいます。自己注入は、おすすめできる行為ではありません。

ワセリン注入による変形

注入直後は形状を維持していたワセリンも時間が経つにつれて、変形してくることがあります。ワセリンが体内で異物として認識され、除去しようとする反応によって変形が少しずつ進行します。ワセリンは分解されないため、被膜がワセリンを包み込み増大し、皮下組織内で石灰化が起こります。皮膚が陥没したり、引きつれをおこしたりすることもありします。また包皮狭窄変形を起こして、剥け難くなり、排尿困難となったり、包皮内の洗浄ができなくなったりすることもあります。

陰茎増大によるトラブル

ワセリン注入により、陰茎が大きくなり過ぎて、性行為ができなくなることもあります。皮膚や組織が壊死を引き起こすことも知られており、性機能障害を生じた症例は、過去にいくつも報告されています。ワセリンは皮膚組織または皮膚に浸透し血液の流れを妨げます。組織が死滅するとワセリンが石灰化して硬くなってしまいます。また、注入されているワセリンが細菌感染を起こすことで、痛みや発熱の体調不良を訴えて病院を訪れるケースもあります。

ワセリンによるアレルギー反応

ワセリンは異物です。アレルギーを起こす可能性があり、突然強く腫れてくることがあります。普段は問題がなくても、体力が低下した時や免疫力が低下した時に、どのように反応するかわかりません。ワセリンによる変形で日常生活に支障をきたして、悩んでいる方もいらっしゃいます。

ワセリン除去

ワセリン注入は体内にとっては異物であり、将来的に後遺症をきたすことがあります。異物肉芽腫などの可能性や、自己注入では神経損傷や血管内注入、感染などが発生する可能性も高く、最悪の場合にはペニスが壊死することもあります。ワセリンの危険性についてはすでに数多くの報告がされているため、医療機関では使用するところはありません。しかしワセリンは個人で簡単に入手できるため、安易な気持で行った注入によるトラブルが後を絶ちません。注入直後は問題がなくとも、時間経過によって状態が変化するため、今後もワセリン注入のトラブルが増えていくと考えられます。

ワセリン除去のリスクやデメリット(稀なものを含む)

  • ワセリン全てを取り除くことができない場合があります。
  • 数回に分けてワセリンの除去が必要になることがあります。
  • 術後に傷が開く可能性があります。
  • ワセリンを除去した部分が凹み、皮膚が不整形になることがあります。
  • 数ヶ所を切開して、ワセリン除去が必要になることがあります。
  • 包皮のタルミを生じることがあります。

ワセリン除去ビフォーアフター症例写真

ワセリン除去

47歳、独身。ワセリン除去
症例経過:20年前にワセリンを陰茎に自己注入した症例です。注入直後は増大効果があり満足でした。しかし数年が経過して、陰茎の変形が生じ、包皮に亀裂ができるようになり、排尿時や日常生活に支障がでてきたことからワセリン除去を検討するようになりました。何軒かのクリックに問い合わせをしましたが、引き受けてもらえず、ネット検索をして県外から仙台中央クリニックを受診していただきました。診察したところ、ワセリンは陰茎の根元までかなり大量に注入され、硬くなり変形していました。包皮は、ワセリンによる長期的な負荷で、亀裂ができていました。ワセリン除去と包皮修正手術を行い、陰茎を通常の状態に近づけました。
症例解説:異物は期間の経過とともに皮下組織中を移動し、変形や異物肉芽腫の形成が起こります。それにより陰茎のしこり、変形などを生じることもあります。ワセリンや異物の自己注入はとても危険です。ワセリンは時間が経つほど注入物が硬くなり癒着が酷くなるため、除去の難易度が高くなります。ワセリンが血流障害をきたし、性器の血流不全、壊死など重症合併症の報告もあります。ワセリン注入のトラブルを理解しなければいけません。ワセリン除去は傷が癒合せず、傷の離解を引き起こすリスクやデメリットを認めることがあります。術前に十分説明を受けてください。